赤色人少年

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2009年の作品


火星のすべての生命を維持する「人工大気工場」が停止。

バルスーム(火星のこと、地球はジャスーム)の危機を救ったわたしだが地球に戻っていた。
10年の後、愛しい妻を求めて再びバルスームにわたしは飛来した。


そこは邪神イサスの支配するイス河、ドール谷の死の世界。
ブラックパイレーツなる黒色人につかまる。
彼らはアドニスも羨むような眉目秀麗の人種。黒檀のような美しい色の肌を持つ。

彼らによって
地中都市に連れていかれ幽閉された。
黒色人のゾダールは女神の怒りをかい、わたしと共に獄房に入れられる。

その獄房には先客がいた。
赤色人の少年。
その笑みは美しく、どこかで見たような気がした。
よく見ると赤色人より少し薄い肌の色をしている。


彼は単座飛空艇で探索に来たこの地でブラックパイレーツにつかまったという。
つかまる前の闘いぶりを、自分が生まれる前に死んだと聞く父に見せたかった、という。


「君のお父上は?」わたしはきいたがその時、看守が会話を遮った。


次、その少年と会ったのは月1度の闘技場での残酷な催しだった。
わたしと少年は剣を取り闘った。
彼はくちびるの端に不敵な笑みを浮かべ剣をふるう。


彼の闘いぶりはわたしに似ていた。わたしがその少年を好きになったのはそのせいだと思う。

血路を切り開くその横にはいつも赤色人少年の刃が煌めいていた。


わたしは、少年と仲間になった黒色人のゾダールと命がけの脱出を試みるのだった。


ゾダールは「そっちの坊や」の月例の闘技場でのイサスのお楽しみ会での闘いぶりがわたしに似ていると言う。

「師弟というか、親子のように」と。


やがてわれわれは奪った飛空艇を垂直に上に向け全速力を出した。
締まりかけるドームのシャフトをぎりぎりですりぬけ地上へと脱出した。
無事脱出できた時ゾダールが感激して言った。
「これはジョン・カーターならではで、余人にはできなかっただろう!」


それを聞いた赤色人少年は叫んだ。
「ジョン・カーターだって?!ぼくはその息子だ」

わたしの息子だと?!
なぜ彼の容貌と個性に惹かれたのかわかった。
彫りの深い目鼻立ちには彼の母親の類い稀なる美しさが充分にあらわれている。
しかしそれはきわめて男性的な美貌で灰色の目とその表情はまさに、わたしゆずりのものだ。


歓声をあげて彼はわたしに飛びつき、首っ玉にしがみついた。
息子をしっかりと抱き寄せた時、しばしわたしの目からは滂沱たる涙が溢れ出て、不覚にも喉をつまらせた…


「おまえのお母様はなんと呼んでいるんだね?」
「カーソリスです」


*第2巻「火星の女神イサス」でジョン・カーターは息子と知らず出会うのです。
話中に何度も彼の父親のことを聞くシーンがあるけどそのたび、何かで中断されるけどべたな展開だ。白い肌と黒い髪はバルスームにたったひとりしかいないのに母親から聞いていなかったわけじゃあるまいに。

それにしても安易な名付けだ。
みんな裸ってどうよ…(しかたないのです、そう書いてあるから)




by motibito03 | 2017-07-08 21:05 | ★オペラ・スペオペの世界